絵本試し読み・ストアOPENしました

新しいトップページこのサイトslowlygrow.jpが新しくなって、動きがついたり、スマホ対応になったり、絵本が読めたり、買えたりするサイトになりました。

ご紹介したいのは下記の2点。
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見どころ〈1〉絵本の試し読み

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絵本試し読みスマートフォンで読む時

〜大きな画像で、めくって読める〜

実際に手に取ってページをめくる感覚に近くなりました!大きな画面だとより楽しめます。 スマホでは横長画面にしたり、指二本で拡大してみるのがおススメです。

〜今だけ全ページ読める(期間限定)〜

数点ずつ入れ替えながら公開する予定です。9月は5作目(最新)の『ぼくのかいたい おめん と めがね』と、1作目『くまのくまっくる』の2作品をお楽しみいただけます。その時に全部読める絵本には、下記のようなマークがついています。

絵本今だけ全ページ試し読み見本

見どころ〈2〉絵本が買える

ストアのページへ

〜ストアOPEN〜

 

読まれる→売れる→作者やる気up! 今は絵本だけですが、いずれ抽象画なども買えるようになるかも? 売上げは次の絵本を印刷・製本する資金へ。 クレジットカードも使えます。 ストアは今後、絵本の写真や、買い物の流れが分かるページを更新予定。
ストアトップページ

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そんなわけで、みていただけるとうれしいです。
よろしくお願いいたしします!

『Getting’ Happy!展』出展作品リスト

会場の様子

絵本

ええっと たぶん かなったな表紙

『ええっと たぶん かなったな 〜なきむしエンがないた日〜』

なきたいとき からだのまんなかあたりに あめをふらせる エンが、あるひ であったイモムシのモムをたすけるために、ねがいがかなったりかなわなかったりする ふしぎなばしょロモチへのたびに出かけます。

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抽象画

心の種火を確認するように描き始めました。

種火2

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種火3

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種火4

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種火5

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[絵本]ええっと たぶん かなったな

『ええっと たぶん かなったな』え・ぶん カワカミサエコ

エンは なきたいとき、
からだの まんなかあたりに こっそりあめをふらせます。
そうすると めからなみだが でないので、

まえは 「なきむしエン」とよばれていたけれど、
いまではすっかり ただの「エン」です。

「なきむしエン」だったころは、
なみだでせかいが にじんでみえて ころんでばかり。
あぶなくて おさんぽさえも みんなにやめろととめられて、
おうちでひとり ないてばかりのまいにちでしたが、

ただの「エン」になってからは、
こっそりあめをふらせながら なんでもできて
みんなとたのしく くらせています。

そんなあるひ、
「だいじょうぶ?」と こえをかけられました。
さいきん ひっこしてきた おむかいさんです。

エンは ドキッとしました。
とっさに「ええっと、なんのこと?」などといって とおりすぎましたが、
おむかいさんなので まいにちかおを あわせてしまうのでした。

「きみ、だいじょうぶ?」
「ねえねえ、だいじょうぶ?」
「おーい! ほんとうに だいじょうぶなのかい?!」

こまったことに そうきかれればきかれるほど、
エンはどんどん なきたくなるのでした。
そして とうとうこらえきれなくなって、
めから なみだがこぼれてしまったのです。
エンはおどろき いちもくさんに にげだしました。

むらのはずれの はらっぱのおくの
せのたかい くさむらのなかに かくれて、
めからながれるだけの なみだをながしました。

そして さいごのなみだをぬぐいながら
エンが「はぁ、かえりたくないな…」と つぶやくと、
こんどは ほかのだれかがなきだしました。

「ぼくは、かえりたいよ…」

いもむしのモムでした。
モムは なきながらいいました。
「とりにつかまり いのちからがら にげだしたのはいいが、
おっこちたのが ここさ。このあしで やまは あるけないだろう?
なかまと ロモチであうやくそくなのに、はたせないんだよ…。」

ロモチが やまのうえのほうにある ということは
うわさに きいたことがあります。
ほんとうにかなしそうな モムをみて、
エンも なきたくなってしまいました。

「ええっと… わたしなら、あるけるかもしれない。
わたしが いっしょにいくよ。」
エンも きょうはかえりたくなかったので、
ちょうどよい ようじだとおもったのです。

モムはとてもよろこびました。

やまにはいると ふかいもり。
ながいくねくねみちが、ずっとおくのほうまで つづいていました。

ちかみちをしようとすれば イライラクサの しげみのトゲトゲが
チクチクささっていたいので エンはなきたくなりましたが、
モムのはなしをきいていると なんとかきがまぎれます。

「ロモチはね、みちのりが けわしかったり なんてことなかったりとか、
ねがいが かなったり かなわなかったりする ふしぎなばしょなんだって。

めじるしは、タブンノキ とよばれる おおきな き で、くちぐせがね…」
さいごまで はなしおわらないうちに モムはだまってしまいました。
さなぎになったのです。

さなぎになったモムは つきあかりがすけて
ほうせきみたいに きれいでした。
エンは あるきながらなんどもながめ、タブンノキのくちぐせは
やっぱり “たぶん” かな?とかかんがえて きをまぎらせました。

「おお。それは“たぶん”、ロモチョウのさなぎだよ。
「あ!あなたは、タブンノキさん?」

「ああ、そうだよ。たぶんね。」

エンは すこしわらってしまいました。
じぶんのなまえなのに、たぶん だなんていうひとに あったことがなかったからです。

そんなエンをみて き もにっこりしました。
「わたしのことは、みんな すきかってによぶ。
いまは タブンノキ とよばれている 。おそらくね。

わたしは きがついたらここにいた。
いままで たくさんのことを ひとからきいてきたが、なにしろ ここからうごけない。
じぶんで たしかめたことがないから たぶん なのだよ。」

「ええっと、ここがロモチという ばしょなのですか?」
「それもよくきかれるのだが、
たぶんここは ロモチというばしょではない。
かんがえるに ねがいをかなえるのは、ここ、ロモチ。
コ、コ、ロ、モ、チ、しだい。ということなのだろう。おそらく。」

エンはしばらくかんがえましたが、
よくわからなくて なきたくなりました。
「そんなときはたぶん、ふりかえらず、ただおもうがままに
まっすぐすすんでみればいい。おそらくそれでいい。」

そのとき「おはよう」とこえがしました。
みてみると はねがすこしぬれてくしゃくしゃした チョウがいます。
「モムさん?!だいじょうぶ?!」と エンがきくと、
「うん だいじょうぶ、すぐかわく!」と げんきにこたえました。

すっかりきれいなチョウになったモムは、ぎこちなくとびたちました。
「やくそくのばしょは このおくだよ。ありがとう!いくね!」
エンはおいかけました。

もりをぬけると モムとそっくりなチョウが たくさんいて、
いっせいに とびたとうとしていました。
「そういえば、キミのねがいはなに?いってみなよ!」モムのこえです。
「わたし…わたしは、、つよくなりたい!」エンのこえがひびきわたりました。
でもどういうわけか、さけびながら なきたくなってしまいました。
「あーあ。かなわなかったな」

チョウたちがとびたつと あたりがよくみえて
なんぼんかのみちが あらわれました。
タブンノキ がいったとおりに まっすぐすすんでみると、
のぼってきたみちよりも すこしあるきやすく
ちがったけしきが みえました。

いえにつくとほっとして、エンは さっそく なきたくなりました。
すると、やっぱり おむかいさんがやってきました。

「だいじょうぶ?」

「ええっと… だいじょうぶ、すぐかわく!たぶん…ふふふ。」

エンは ロモチのことをおもいだして すこしわらってしまいました。
すると それにつられて おむかいさんも くすくすとわらいました。

あいかわらず、エンのまんなかのあたりは あめふりなままでした。

おしまい

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