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[絵本] 解説:ええっと たぶん かなったな

作者としては基本的に、ただ自由に読んでもらいたいと思っていますが、試しにどんなイメージで作ったのかを詳しく書き出してみました。

登場人物
ものがたり
作者の気持ち

登場人物

エン

泣き虫な自分がイヤでイヤで仕方がなくて、いつからか“からだの真ん中に雨をふらす”という涙をこらえる術を身につけました。自分では強くなれたつもりでいます。

おむかいさん

エンが自分と“むきあう”きっかけになる、“おむかい”へ引っ越してきた人。
涙をこらえているエンの事が気になって、会うたびに声をかける心配やさん。はじめはエンにとって、嫌な存在。

モム

イモムシのモム。エンにロモチの噂を話したり、幼虫からサナギを経てチョウまでの変身する姿を見せてくれます。
群れで旅するロモチョウ。この辺りでの唯一の居場所は山の上のロモチです。海を渡るアサギマダラというチョウがモチーフになっています。

タブンノキ

世の中は知れば知るほど分からなくなるようなイメージからこのような、断言はしないけど知識豊富で不思議なキャラクターが生まれました。
この木の上にはいつも、知恵の象徴であるフクロウたちが集います。

ものがたり

<あらすじ>

なきたいとき からだのまんなかあたりに あめをふらせる エンが、あるひ であったイモムシのモムをたすけるために、ねがいがかなったりかなわなかったりする ふしぎなばしょロモチへのたびに出かけます。

■エンとおむかいさん

エンはおむかいさんに会うまで、自分が強くなれたつもりでいました。ところが、本当に大丈夫?と繰り返し聞かれて不安になっていきます。それは実はエン自身も自分が本当に大丈夫なのか自信が持てていなかったからです。それが1人で再び自分の弱さと向き合うきっかけとなります。

■エンとモム

モムを助けることで、エンも知らず知らずに成長します。
エンの「帰りたくない」に対してモムは「帰りたい」と言いますが、本当はエンも帰って仲間と楽しく過ごしたいのです。そのためにはもっと強くなる必要があるとエン自身は感じていました。
終盤、自分が繰り返し言われて逃げ出した「大丈夫?」という言葉をモムへ自然に投げかけます。

■森

森の道の険しさは=逆境を表しています。困難を乗り越えようと必死な姿はエンにとっての涙のように本人にとっては格好つけたくてもつけられず、隠していかったりするのではないでしょうか。でもきっと別の視点からはモムのサナギやチョウの姿のように美しくもみえ、エンが眺めて気を紛らせたようにその誰かを励ましているのではないかと思います。

■エンとタブンノキ

ロモチや森のことを、エンはよく知らなくて不安を感じているのですが、タブンノキはよく知っているはずなのに分からないと言います。ロモチについての噂も曖昧なものですが、タブンノキは年の功からその秘密に気付いています。

■帰り道

エンは「強くなりたい」という願いを口に出して叫びました。その後の帰り道が来た道と違ったり歩きやすくなったのは、道は1つだけじゃないという事と、何かを精一杯やり遂げた達成感や、ものごとを始める時の0と1の違いみたいなものなどを表しています。

■ラストシーン

エンは泣き虫なままだけれど、笑うことで心が軽くなり、おむかいさんもホッとしました。エンの本当の気持ちは「仲間と楽しく過ごしたい」なので『ええっと たぶん かなったな』。そして明日からはほんの少し違った日々になるのです。

■タイトル

また、『ええっと たぶん かなったな』というタイトルはその結末とセットで「はじめに思い描いた結果とは違った形で願いが叶う事があるよ」という意味を含んでいます。それに気付けるかどうかは、心持ち次第…ということなのです。…たぶん!

作者の気持ち

エンの「すぐ涙が出てしまう」というような“自分の欠点”は出来れば無くなってほしいものだけれど、気にしすぎるとさらにやりにくくなってしまったりもします。ある程度の所まで来ると、そういうものだと諦めて受け入れるしかない。でも頭でそう思えてはいてもなかなか簡単にはいきません。

エンは家を飛び出したことがきっかけで、偶然出会ったものたちから何かを得たのでしょう。最終的にほんの少し頭が切り替わり笑うことができました。環境を変えてひたすら目の前の事を頑張ってみたら可能性が広がることもあるんだと思います。確信は持てなくてもそのうちなんだか大丈夫な気がしてくる、そこまで来れればもう安心です。


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