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[絵本]ぼくのかいたい おめん と めがね

12月 27th, 2018

『ぼくのかいたい おめん と めがね』表紙

『ぼくのかいたい おめん と めがね』え・ぶん カワカミサエコ

このあいだ、サッカーのしあいでまけた。

チームのみんなは、くやしいかおや かなしいかおをしていた。
ぼくもなくほどくやしかった。

けれど、コトナくんだけは ちがったんだ。
コトナくんは、なぜかひとりだけ ふつうのかおをしていた。

くやしくないの? かなしくないの?ぼくがそうきくと、
コトナくんは「みんなとおんなじきもちだよ。」っていうんだ。

「コトナくん、かお まちがってるよなぁ」

あれからぼくは そのことが ずっときになっていて、
きょうは、うちにかえって はなしてみることにしたんだ。

きいてみると、かあさんも かお、まちがうことがあるらしい。
「いつものおこったかおを、ほんとうは やさしいかおに つけかえたいのよ。」
っていってたよ。
かおを つけかえるって?!おめんみたいだね。
でも、そうしてくれると ぼくもたすかるなぁ。

とうさんのほうは こういっていた。
「コトナくんの そのかおは きっと、“きもちをきりかえる”おめん だな。
くやしくても かなしくても そのおめんをつけたら きもちがおちついて、
つぎのいっぽを ふみだしやすくなるんだ。」

そういわれてみると・・・

ぼくも よくきんちょうして こまるから、
そんな おめんをつけると いろいろとやりやすそうだなあ。

ぼくはすっかり、ほしくなってしまった。

「そんなおめん、どこかにうってるのかな?
うってたら、かいたいなあ。」
ぼくがそういうと、とうさんと かあさんも
「かいたいねえ」っていっていたよ。

そんなわけで ぼくは、さがしてみることに したんだ。

いえをでると、きんじょのひげじい がいたので きいてみた。
「ほほう、きもちをきりかえる、ちょっとおとなの おめんだね。
たしか、めがねやのおやじが きみぐらいちいさなころに、
そのおめんについて けんきゅうしていたなあ。」
それをきいたぼくは とてもワクワクして、
すぐにめがねやさんに いってみようとおもった。

ひげじいにおれいをいって いこうとしたら、
さいごに こういっていたよ。
「でもな、わるいおめんに きをつけろ。
わるいやつも おめんをつかいこなすんだ。」って。
ぼくはドキドキした。それは きをつけなくっちゃね。

しょうてんがいの めがねやさんをたずねた。
「いらっしゃいませ」
さっそくおじさんが でてきたので、すぐにきいてみた。

「おじさん、おめんの おみせ、みつけたの?
きもちをきりかえる、ちょっとおとななおめんの…」

おじさんは すこししてから「ああ!」といった。
おもいだしたみたい。

「おめんのおみせはねぇ。おじさんも ちいさいころに さがしたんだけどね、
ざんねんながら、みつからなかったんだよ…。」
ぼくは がっかりしてしまった。でも、つづけてこうもいったんだ。

「そのおめんはどうやら、ポイントをためて もらうものらしい。」
「ポイント?!」

「そう、まいにち くらしていると、
うまくいくことも あれば、いかなかいことも あるだろう?
それでも がんばりつづけて、うれしかったり、くやしかったり、
いろいろなきもちになることでたまる ポイントだな。

おめんは、そのポイントが あるていどたまると
もらえるんじゃないか…というところまでは、
ちいさいころに けんきゅうしたんだけど、そこまで。
なぞは ふかまるばかりだったよ。

おじさんも おみせにいって、
すきなおめんを かいたかったんだけどねえ。」

ちょっと むずかしいはなしだったけど、
いいことも おしえてくれたんだ。
「…でもじつはね、めがねにも あるんだよ。」って。


おじさんは、おくのほうから、まるいのと、しかくいのと、
めがねを ふたつだしてきた。

「このまるいのは マエムキメガネといってね、これをかけると
みたものの、いいぶぶんばかりが みえるんだ。」

ぼくは おそるおそる そのめがねを かけてみた。
すると、ふつうのかおをしていたおじさんが、ニコニコしてる!
「わぁ、ほんとうだ!すごい!」ぼくは おもわずさけんだ。

しかくいほうは どうだろう??

ぼくはおどろいた。
「こんどは おこってるようにみえるよ!!どうして?!」

「きみはまだ おじさんのことをよく しらないから、ちょっとふあんだろう?
そういうときに、わるいふうにばかりみせちゃうのが、このウシロムキメガネ。」

す、すごい!めがねをかけないでみると ふつうのかおなのに!おめんを つけかえてるみたいだ。

「そういえば、きみがほしいのは、どんな おめん や めがねかな?」
と おじさんがたずねたとき、ぼくはもう、まよわなかった。

「この、マエムキメガネが ほしいです!
いくらですか!」

って、ポケットの さいふをとりだしながら いった。
おめんをかおうとおもって、
おとしだまを もってきていたんだ。
たくさんあるから、きっとかえるとおもったよ。

「おや?!ややや?!」
おじさんは きゅうにこういいだした。

「よくみると、キミはもうすでに、
とってもいいかんじの スナオメガネを かけている!
マエムキメガネは たしかに いいしなものだけど、
きみには、うることは できないなあ!」

「えー?」

ぼくは、いみが わからなかった。
ごらんのとおり、ぼくは、めがねなんて かけていないからだ。

なんでだよ、かうっていってるのに。しょうばい へたなんじゃない?

でも、ニコニコしたおめんを つけたみたいで、なんだかあやしいぞ。
きょうのところは、おれいをいって かえることにしよう…


がっかりなかえりみち、ひげじいに ほうこくをすると、
「おやおや!さすがめがねや。いいみたてだわい。
スナオメガネは、こどもならではの とてもいいめがねだなあ。」
といってわらった。

おじいまでなんだよ!ぼくは めがねなんて かけてないってば!


とうさんと かあさんまで
「ほんとだ!うらやましいくらいの スナオメガネだね。」だって。

「けどぼく、めがねなんて かけてないよね?!」といっても、
「おとなのめがねからは、よーくみえるよ。」とかいって、とりあってくれない。
ふたりも、めがねを かけてないのにね。
おめんよりも、おとなのめがねよりも、
もうしばらくは、そのめがねのままで いてほしいとか、やたらほめてくるんだ。

ぼくはもう ほんとうによくわからなくなって、
じぶんのへやに にげこんだ。


ほら、かがみにうつった ぼくは、
やっぱり めがねをかけてないよ。
おとなのめがねだと、
みえるってことなんだろうか。

そういえば、あれ?
ぼく、けっこう おこっていたはずなのに、
いがいと ふつうのかおをしている。
ぼくも、おめん?
ポイントが たまったのかな…。

「ねこのめがねは、どんなふうに みえるの?おめん、つけたこと ある?」

みゃうみゃうに きいてみたけど、
「にゃー」といって、けづくろいを しただけだった。
ほんとうに なぞはふかまるばかり だなあ。

うーん。よくわからないけど、たくさんほめられたし、まあいいか。

そのよる、ながれぼしが みえたので、おねがいを しておいた。
ぼくもはやく、おとなのおめんとめがねを てにいれられますようにって。

おしまい

この絵本のうらばなしを読む


[絵本うらばなし]ぼくのかいたい おめん と めがね

12月 27th, 2018

なんでこんなお話が出来たのかな?
作者自身も時間がたつと忘れてしまいそうなので書いておこうと思います。

経験ポイントについて


まず、おはなしのベースに「経験ポイント」という概念があります。

これは息子が4歳くらいの時に、前向きな気持ちで自分のことをやってもらいたくて「それは、かあちゃんがやってしまうと、かあちゃんの経験ポイントになってしまうよ。自分でやったほうがいいよ。」と説明してみたら瞬時に理解してくれてびっくりした所から始まりました。この頃の息子はハンコやシールを溜めるのがうれしいタイミングだったおかげか、自分のポイントにしたい、ポイントをどんどんためるぞ!と思ったようでした。

このようなことが私にとっての子どもと接する面白さになっています。説明したら意外と通じるというか、逆に大人に話すよりも素直に届くというか。

その概念が我が家には当たり前な存在になっていて、今でもたびたび話題に登場します。

おめんについて


日々色んなことがありつつ過ごしていると、悲しいけど幸せだ、とか、一見相反するような感情を複数同時に抱えながら目の前をやるべき事を淡々とこなすような状況になったりします。
そういう風に、1つの出来事に対する1つの感情に振り回されにくくなり始めるような事が、大人の階段をのぼるという事なのかなぁと思うことがあります。
それから周囲を見ていても、みんな自分よりも上手くやってそうに見えても、きっと色々あるんだ、自分なりに頑張るのみだと思えたりとか。

コトナくんは、試合の後に素早く気持ちを切り替えて次もがんばろうと思っている、一足早く大人の階段をのぼった子のイメージです。

メガネについて


これもまた4,5歳くらいの時の息子に「前向きメガネをかけていると良い事ばかりに気がつけて、後ろ向きメガネをかけてしまうと、嫌な出来事ばかりに気がついてしまう」と話すと、
「じゃあボクはいつも前向きメガネをかけているよ。だっていつも楽しいもん。」と言われてうらやましいなぁと思ったことがありました。

どうしても、後ろ向きメガネをかけてしまう時があります。でも、そのメガネのせいだと思ったらちょっと気が楽になって、前向きメガネを想像すると気持ちが切り替えられるかなぁと、そういったイメージでこの絵本のお話に加えようと思いました。

このおはなしについて

というわけで、この絵本は息子との会話がもとになっていて、気持ちを切り替える事について楽しく話し合えたらいいなぁと思いつつ作りました。

でも子どもたちに早く大人になってもらいたいという訳ではなくて、大人は子どもなりの感じ方がいいなぁと思っているし、子どもたちは今の感覚も尊重されつつ、大人になることが楽しみになってくれたらいいなぁと思いました。

もう私自身は子どもではなくなってしまったので、そういう目線になってしまいますが、、、振り返ると楽しく作ることができた絵本だと思います。


[works] 美容室のクリスマスカード イラスト・デザイン(2018年)

12月 23rd, 2018

新百合ヶ丘(神奈川県)の美容室「Hair Feel」さんの、年末年始のお知らせも兼ねたクリスマスカード、2018年版デザインです。

Hair Feel 2018年クリスマスカード

Hair Feel 2018年クリスマスカード宛名面

2017年版


『Getting’ Happy!展』出展作品リスト

5月 24th, 2018

会場の様子

絵本

ええっと たぶん かなったな表紙

『ええっと たぶん かなったな 〜なきむしエンがないた日〜』

なきたいとき からだのまんなかあたりに あめをふらせる エンが、あるひ であったイモムシのモムをたすけるために、ねがいがかなったりかなわなかったりする ふしぎなばしょロモチへのたびに出かけます。

この絵本を読む
この絵本のくわしい解説を読む


抽象画

心の種火を確認するように描き始めました。

種火2

種火2
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種火3


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種火4

種火4
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種火5

種火5
この作品のほかの写真をみる


『種火5』

5月 24th, 2018

種火5

種火5

「種火5」2018.5(SM)
心の中の種火を確認するように描いています。


『種火4』

5月 24th, 2018

種火4

種火4

「種火4」2017.2.8(20cm×20cm×3.5cm)
心の中の種火を確認するように描いています。


『種火3』

5月 24th, 2018

種火3「種火3」2018.2 227×158(SM)アクリル

種火3


『種火2』

5月 24th, 2018

種火2

種火2

「種火2」2017.11
心の中の種火を確認するように描いています。


[絵本] 解説:ええっと たぶん かなったな

5月 24th, 2018

作者としては基本的に、ただ自由に読んでもらいたいと思っていますが、試しにどんなイメージで作ったのかを詳しく書き出してみました。

登場人物
ものがたり
作者の気持ち

登場人物

エン

泣き虫な自分がイヤでイヤで仕方がなくて、いつからか“からだの真ん中に雨をふらす”という涙をこらえる術を身につけました。自分では強くなれたつもりでいます。

おむかいさん

エンが自分と“むきあう”きっかけになる、“おむかい”へ引っ越してきた人。
涙をこらえているエンの事が気になって、会うたびに声をかける心配やさん。はじめはエンにとって、嫌な存在。

モム

イモムシのモム。エンにロモチの噂を話したり、幼虫からサナギを経てチョウまでの変身する姿を見せてくれます。
群れで旅するロモチョウ。この辺りでの唯一の居場所は山の上のロモチです。海を渡るアサギマダラというチョウがモチーフになっています。

タブンノキ

世の中は知れば知るほど分からなくなるようなイメージからこのような、断言はしないけど知識豊富で不思議なキャラクターが生まれました。
この木の上にはいつも、知恵の象徴であるフクロウたちが集います。

ものがたり

<あらすじ>

なきたいとき からだのまんなかあたりに あめをふらせる エンが、あるひ であったイモムシのモムをたすけるために、ねがいがかなったりかなわなかったりする ふしぎなばしょロモチへのたびに出かけます。

■エンとおむかいさん

エンはおむかいさんに会うまで、自分が強くなれたつもりでいました。ところが、本当に大丈夫?と繰り返し聞かれて不安になっていきます。それは実はエン自身も自分が本当に大丈夫なのか自信が持てていなかったからです。それが1人で再び自分の弱さと向き合うきっかけとなります。

■エンとモム

モムを助けることで、エンも知らず知らずに成長します。
エンの「帰りたくない」に対してモムは「帰りたい」と言いますが、本当はエンも帰って仲間と楽しく過ごしたいのです。そのためにはもっと強くなる必要があるとエン自身は感じていました。
終盤、自分が繰り返し言われて逃げ出した「大丈夫?」という言葉をモムへ自然に投げかけます。

■森

森の道の険しさは=逆境を表しています。困難を乗り越えようと必死な姿はエンにとっての涙のように本人にとっては格好つけたくてもつけられず、隠していかったりするのではないでしょうか。でもきっと別の視点からはモムのサナギやチョウの姿のように美しくもみえ、エンが眺めて気を紛らせたようにその誰かを励ましているのではないかと思います。

■エンとタブンノキ

ロモチや森のことを、エンはよく知らなくて不安を感じているのですが、タブンノキはよく知っているはずなのに分からないと言います。ロモチについての噂も曖昧なものですが、タブンノキは年の功からその秘密に気付いています。

■帰り道

エンは「強くなりたい」という願いを口に出して叫びました。その後の帰り道が来た道と違ったり歩きやすくなったのは、道は1つだけじゃないという事と、何かを精一杯やり遂げた達成感や、ものごとを始める時の0と1の違いみたいなものなどを表しています。

■ラストシーン

エンは泣き虫なままだけれど、笑うことで心が軽くなり、おむかいさんもホッとしました。エンの本当の気持ちは「仲間と楽しく過ごしたい」なので『ええっと たぶん かなったな』。そして明日からはほんの少し違った日々になるのです。

■タイトル

また、『ええっと たぶん かなったな』というタイトルはその結末とセットで「はじめに思い描いた結果とは違った形で願いが叶う事があるよ」という意味を含んでいます。それに気付けるかどうかは、心持ち次第…ということなのです。…たぶん!

作者の気持ち

エンの「すぐ涙が出てしまう」というような“自分の欠点”は出来れば無くなってほしいものだけれど、気にしすぎるとさらにやりにくくなってしまったりもします。ある程度の所まで来ると、そういうものだと諦めて受け入れるしかない。でも頭でそう思えてはいてもなかなか簡単にはいきません。

エンは家を飛び出したことがきっかけで、偶然出会ったものたちから何かを得たのでしょう。最終的にほんの少し頭が切り替わり笑うことができました。環境を変えてひたすら目の前の事を頑張ってみたら可能性が広がることもあるんだと思います。確信は持てなくてもそのうちなんだか大丈夫な気がしてくる、そこまで来れればもう安心です。


[絵本]ええっと たぶん かなったな

5月 24th, 2018

『ええっと たぶん かなったな』え・ぶん カワカミサエコ

エンは なきたいとき、
からだの まんなかあたりに こっそりあめをふらせます。
そうすると めからなみだが でないので、

まえは 「なきむしエン」とよばれていたけれど、
いまではすっかり ただの「エン」です。

「なきむしエン」だったころは、
なみだでせかいが にじんでみえて ころんでばかり。
あぶなくて おさんぽさえも みんなにやめろととめられて、
おうちでひとり ないてばかりのまいにちでしたが、

ただの「エン」になってからは、
こっそりあめをふらせながら なんでもできて
みんなとたのしく くらせています。

そんなあるひ、
「だいじょうぶ?」と こえをかけられました。
さいきん ひっこしてきた おむかいさんです。

エンは ドキッとしました。
とっさに「ええっと、なんのこと?」などといって とおりすぎましたが、
おむかいさんなので まいにちかおを あわせてしまうのでした。

「きみ、だいじょうぶ?」
「ねえねえ、だいじょうぶ?」
「おーい! ほんとうに だいじょうぶなのかい?!」

こまったことに そうきかれればきかれるほど、
エンはどんどん なきたくなるのでした。
そして とうとうこらえきれなくなって、
めから なみだがこぼれてしまったのです。
エンはおどろき いちもくさんに にげだしました。

むらのはずれの はらっぱのおくの
せのたかい くさむらのなかに かくれて、
めからながれるだけの なみだをながしました。

そして さいごのなみだをぬぐいながら
エンが「はぁ、かえりたくないな…」と つぶやくと、
こんどは ほかのだれかがなきだしました。

「ぼくは、かえりたいよ…」

いもむしのモムでした。
モムは なきながらいいました。
「とりにつかまり いのちからがら にげだしたのはいいが、
おっこちたのが ここさ。このあしで やまは あるけないだろう?
なかまと ロモチであうやくそくなのに、はたせないんだよ…。」

ロモチが やまのうえのほうにある ということは
うわさに きいたことがあります。
ほんとうにかなしそうな モムをみて、
エンも なきたくなってしまいました。

「ええっと… わたしなら、あるけるかもしれない。
わたしが いっしょにいくよ。」
エンも きょうはかえりたくなかったので、
ちょうどよい ようじだとおもったのです。

モムはとてもよろこびました。

やまにはいると ふかいもり。
ながいくねくねみちが、ずっとおくのほうまで つづいていました。

ちかみちをしようとすれば イライラクサの しげみのトゲトゲが
チクチクささっていたいので エンはなきたくなりましたが、
モムのはなしをきいていると なんとかきがまぎれます。

「ロモチはね、みちのりが けわしかったり なんてことなかったりとか、
ねがいが かなったり かなわなかったりする ふしぎなばしょなんだって。

めじるしは、タブンノキ とよばれる おおきな き で、くちぐせがね…」
さいごまで はなしおわらないうちに モムはだまってしまいました。
さなぎになったのです。

さなぎになったモムは つきあかりがすけて
ほうせきみたいに きれいでした。
エンは あるきながらなんどもながめ、タブンノキのくちぐせは
やっぱり “たぶん” かな?とかかんがえて きをまぎらせました。

「おお。それは“たぶん”、ロモチョウのさなぎだよ。
「あ!あなたは、タブンノキさん?」

「ああ、そうだよ。たぶんね。」

エンは すこしわらってしまいました。
じぶんのなまえなのに、たぶん だなんていうひとに あったことがなかったからです。

そんなエンをみて き もにっこりしました。
「わたしのことは、みんな すきかってによぶ。
いまは タブンノキ とよばれている 。おそらくね。

わたしは きがついたらここにいた。
いままで たくさんのことを ひとからきいてきたが、なにしろ ここからうごけない。
じぶんで たしかめたことがないから たぶん なのだよ。」

「ええっと、ここがロモチという ばしょなのですか?」
「それもよくきかれるのだが、
たぶんここは ロモチというばしょではない。
かんがえるに ねがいをかなえるのは、ここ、ロモチ。
コ、コ、ロ、モ、チ、しだい。ということなのだろう。おそらく。」

エンはしばらくかんがえましたが、
よくわからなくて なきたくなりました。
「そんなときはたぶん、ふりかえらず、ただおもうがままに
まっすぐすすんでみればいい。おそらくそれでいい。」

そのとき「おはよう」とこえがしました。
みてみると はねがすこしぬれてくしゃくしゃした チョウがいます。
「モムさん?!だいじょうぶ?!」と エンがきくと、
「うん だいじょうぶ、すぐかわく!」と げんきにこたえました。

すっかりきれいなチョウになったモムは、ぎこちなくとびたちました。
「やくそくのばしょは このおくだよ。ありがとう!いくね!」
エンはおいかけました。

もりをぬけると モムとそっくりなチョウが たくさんいて、
いっせいに とびたとうとしていました。
「そういえば、キミのねがいはなに?いってみなよ!」モムのこえです。
「わたし…わたしは、、つよくなりたい!」エンのこえがひびきわたりました。
でもどういうわけか、さけびながら なきたくなってしまいました。
「あーあ。かなわなかったな」

チョウたちがとびたつと あたりがよくみえて
なんぼんかのみちが あらわれました。
タブンノキ がいったとおりに まっすぐすすんでみると、
のぼってきたみちよりも すこしあるきやすく
ちがったけしきが みえました。

いえにつくとほっとして、エンは さっそく なきたくなりました。
すると、やっぱり おむかいさんがやってきました。

「だいじょうぶ?」

「ええっと… だいじょうぶ、すぐかわく!たぶん…ふふふ。」

エンは ロモチのことをおもいだして すこしわらってしまいました。
すると それにつられて おむかいさんも くすくすとわらいました。

あいかわらず、エンのまんなかのあたりは あめふりなままでした。

おしまい

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