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[絵本]ぼくのかいたい おめん と めがね

『ぼくのかいたい おめん と めがね』表紙

『ぼくのかいたい おめん と めがね』え・ぶん カワカミサエコ

このあいだ、サッカーのしあいでまけた。

チームのみんなは、くやしいかおや かなしいかおをしていた。
ぼくもなくほどくやしかった。

けれど、コトナくんだけは ちがったんだ。
コトナくんは、なぜかひとりだけ ふつうのかおをしていた。

くやしくないの? かなしくないの?ぼくがそうきくと、
コトナくんは「みんなとおんなじきもちだよ。」っていうんだ。

「コトナくん、かお まちがってるよなぁ」

あれからぼくは そのことが ずっときになっていて、
きょうは、うちにかえって はなしてみることにしたんだ。

きいてみると、かあさんも かお、まちがうことがあるらしい。
「いつものおこったかおを、ほんとうは やさしいかおに つけかえたいのよ。」
っていってたよ。
かおを つけかえるって?!おめんみたいだね。
でも、そうしてくれると ぼくもたすかるなぁ。

とうさんのほうは こういっていた。
「コトナくんの そのかおは きっと、“きもちをきりかえる”おめん だな。
くやしくても かなしくても そのおめんをつけたら きもちがおちついて、
つぎのいっぽを ふみだしやすくなるんだ。」

そういわれてみると・・・

ぼくも よくきんちょうして こまるから、
そんな おめんをつけると いろいろとやりやすそうだなあ。

ぼくはすっかり、ほしくなってしまった。

「そんなおめん、どこかにうってるのかな?
うってたら、かいたいなあ。」
ぼくがそういうと、とうさんと かあさんも
「かいたいねえ」っていっていたよ。

そんなわけで ぼくは、さがしてみることに したんだ。

いえをでると、きんじょのひげじい がいたので きいてみた。
「ほほう、きもちをきりかえる、ちょっとおとなの おめんだね。
たしか、めがねやのおやじが きみぐらいちいさなころに、
そのおめんについて けんきゅうしていたなあ。」
それをきいたぼくは とてもワクワクして、
すぐにめがねやさんに いってみようとおもった。

ひげじいにおれいをいって いこうとしたら、
さいごに こういっていたよ。
「でもな、わるいおめんに きをつけろ。
わるいやつも おめんをつかいこなすんだ。」って。
ぼくはドキドキした。それは きをつけなくっちゃね。

しょうてんがいの めがねやさんをたずねた。
「いらっしゃいませ」
さっそくおじさんが でてきたので、すぐにきいてみた。

「おじさん、おめんの おみせ、みつけたの?
きもちをきりかえる、ちょっとおとななおめんの…」

おじさんは すこししてから「ああ!」といった。
おもいだしたみたい。

「おめんのおみせはねぇ。おじさんも ちいさいころに さがしたんだけどね、
ざんねんながら、みつからなかったんだよ…。」
ぼくは がっかりしてしまった。でも、つづけてこうもいったんだ。

「そのおめんはどうやら、ポイントをためて もらうものらしい。」
「ポイント?!」

「そう、まいにち くらしていると、
うまくいくことも あれば、いかなかいことも あるだろう?
それでも がんばりつづけて、うれしかったり、くやしかったり、
いろいろなきもちになることでたまる ポイントだな。

おめんは、そのポイントが あるていどたまると
もらえるんじゃないか…というところまでは、
ちいさいころに けんきゅうしたんだけど、そこまで。
なぞは ふかまるばかりだったよ。

おじさんも おみせにいって、
すきなおめんを かいたかったんだけどねえ。」

ちょっと むずかしいはなしだったけど、
いいことも おしえてくれたんだ。
「…でもじつはね、めがねにも あるんだよ。」って。


おじさんは、おくのほうから、まるいのと、しかくいのと、
めがねを ふたつだしてきた。

「このまるいのは マエムキメガネといってね、これをかけると
みたものの、いいぶぶんばかりが みえるんだ。」

ぼくは おそるおそる そのめがねを かけてみた。
すると、ふつうのかおをしていたおじさんが、ニコニコしてる!
「わぁ、ほんとうだ!すごい!」ぼくは おもわずさけんだ。

しかくいほうは どうだろう??

ぼくはおどろいた。
「こんどは おこってるようにみえるよ!!どうして?!」

「きみはまだ おじさんのことをよく しらないから、ちょっとふあんだろう?
そういうときに、わるいふうにばかりみせちゃうのが、このウシロムキメガネ。」

す、すごい!めがねをかけないでみると ふつうのかおなのに!おめんを つけかえてるみたいだ。

「そういえば、きみがほしいのは、どんな おめん や めがねかな?」
と おじさんがたずねたとき、ぼくはもう、まよわなかった。

「この、マエムキメガネが ほしいです!
いくらですか!」

って、ポケットの さいふをとりだしながら いった。
おめんをかおうとおもって、
おとしだまを もってきていたんだ。
たくさんあるから、きっとかえるとおもったよ。

「おや?!ややや?!」
おじさんは きゅうにこういいだした。

「よくみると、キミはもうすでに、
とってもいいかんじの スナオメガネを かけている!
マエムキメガネは たしかに いいしなものだけど、
きみには、うることは できないなあ!」

「えー?」

ぼくは、いみが わからなかった。
ごらんのとおり、ぼくは、めがねなんて かけていないからだ。

なんでだよ、かうっていってるのに。しょうばい へたなんじゃない?

でも、ニコニコしたおめんを つけたみたいで、なんだかあやしいぞ。
きょうのところは、おれいをいって かえることにしよう…


がっかりなかえりみち、ひげじいに ほうこくをすると、
「おやおや!さすがめがねや。いいみたてだわい。
スナオメガネは、こどもならではの とてもいいめがねだなあ。」
といってわらった。

おじいまでなんだよ!ぼくは めがねなんて かけてないってば!


とうさんと かあさんまで
「ほんとだ!うらやましいくらいの スナオメガネだね。」だって。

「けどぼく、めがねなんて かけてないよね?!」といっても、
「おとなのめがねからは、よーくみえるよ。」とかいって、とりあってくれない。
ふたりも、めがねを かけてないのにね。
おめんよりも、おとなのめがねよりも、
もうしばらくは、そのめがねのままで いてほしいとか、やたらほめてくるんだ。

ぼくはもう ほんとうによくわからなくなって、
じぶんのへやに にげこんだ。


ほら、かがみにうつった ぼくは、
やっぱり めがねをかけてないよ。
おとなのめがねだと、
みえるってことなんだろうか。

そういえば、あれ?
ぼく、けっこう おこっていたはずなのに、
いがいと ふつうのかおをしている。
ぼくも、おめん?
ポイントが たまったのかな…。

「ねこのめがねは、どんなふうに みえるの?おめん、つけたこと ある?」

みゃうみゃうに きいてみたけど、
「にゃー」といって、けづくろいを しただけだった。
ほんとうに なぞはふかまるばかり だなあ。

うーん。よくわからないけど、たくさんほめられたし、まあいいか。

そのよる、ながれぼしが みえたので、おねがいを しておいた。
ぼくもはやく、おとなのおめんとめがねを てにいれられますようにって。

おしまい

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